映画「フルートベール駅で」
2014.03.24 @ヒューマントラストシネマ有楽町
2009年1月1日未明、Fruitvale Stationのホームで起きた実在の事件を、列車内の乗客が撮影した衝撃映像で始まる冒頭。
そして売人として前科がある以外、ごく普通の青年Oscar Grant IIIさん(22)最後の一日が忠実に描かれていく。
愛娘のために売人から足を洗う決意をして職場復帰を願い出るも遅刻が原因でクビを宣告され、そのことを恋人に言い出せず、さらに妹からの「お金を貸してほしい」という依頼にも承諾してしまう。見ず知らずの女性の相談にのり、ひき逃げされた瀕死の状態の野良犬を助けようとする優しい心の持ち主であったことを窺い知ることが出来る。
結末はすでに判っていることとはいえ、愛娘の「I'm scared. I hear guns outside.(怖いわ 銃の音がする)」という意味深な台詞には胸を締め付けられます。
新年の花火を仲間たちと見に行った帰りの列車内でトラブルに巻き込まれ、日常の穏やかな生活風景から一変。駅構内への入場が認められず何が起きているのか状況を呑み込めない恋人、その恋人からの電話に「渋滞に巻き込まれるから車で行くように」と勧めたことを嘆く母親、そして願い空しく医師から母親に宣告されるシーンには溢れる涙を止めることが出来ませんでした。
発砲した警官は2年の禁固刑が科せられるも陪審員の評決によって11ヶ月で出所したという(陪審員の中に黒人はいなかったのか?)。米国に限ったことではないけれど事件の根底には人種差別の根の深さがあるのか、それとも本当に誤射だったのか。
「何もしていない」と弁明するも手錠を掛けられ、無抵抗のまま警官により射殺。あまりにも理不尽過ぎないだろうか。
映画 『フルートベール駅で』 予告篇