鬼束ちひろ & BILLYS SANDWITCHES
鬼束ちひろ& BILLYS SANDWITCHES
2014.01.19 @Billboard Live TOKYO
昨年10月に結成された「鬼束ちひろ& BILLYS SANDWITCHES」名義の全国ツアーが先週月曜日(13日)から始まり、今宵はBLT公演。
平成12年(2000年)にシングル『シャイン』でデヴューした鬼束ちひろさんの生歌をいつの日か聴いてみたいと長年思い続けてきていたものの此れまでBNT、CC、BLTといった300人規模の小さい箱での鑑賞に慣れ親しんできた経緯からホール公演など大箱は敬遠していました。
今回300人規模の小さい箱で行なわれるということでチケットを購入したものの自身のバンド名義での公演。鬼束ちひろさん自身のヒット曲が聴けるのであればこれはこれでアリかなと思っていたのですが、さらにソウル&ファンク・バンド「オオサカ=モノレール」とコラボレーションという形のようで、さすがに今回の編成は懐疑的に思いつつの鑑賞でした。
まずオオサカ=モノレールがステージへ登場し、funkyな演奏を披露。
数曲演奏の後、リーダーの中田亮さんが全メンバーを各々出身地とともに紹介していくのですが、誰一人として大阪出身の者がいないというオチで会場を沸かせます。
その後も数曲演奏をして会場内を温めた後、BILLYS SANDWITCHESの富樫春生さん(p)、友森昭一さん(g)、そして鬼束ちひろさんがステージへ。
大きな拍手で迎えられ、予告通り「八代亜紀さんみたいなドレス」姿で登場された鬼束ちひろさん。
Marilyn Monroeのアノ雰囲気に似せた歌い出しに昔のような感情を込める歌われ方は影を潜めてしまったことが感じ取れ、オオサカ=モノレールの演奏がそれを補って余りあるようなstageに取って代わる様相を呈し始めました。「次の曲こそは・・・」と期待を持ちつつもそのスタンスは変わらず。
目の前で歌っているのが鬼束ちひろさんなのに鬼束ちひろさんではないような、それでも目の前にいるのは鬼束ちひろさんご本人。ずっと生の歌声を聴きたかったその思いは実現したけれど納得できない何かがありました。それでも一生懸命に歌う姿に何度も声援を送らせていただきました。
中盤を過ぎてオオサカ=モノレールの皆さんがstageから降りられ、ここからは「鬼束ちひろ & BILLYS SANDWITCHE」による演奏が始まります。
ブラス隊がいなくなったことで音の厚みが薄まり、鬼束さんの歌声がよりはっきり聴こえてくるものの時折嗄れ声になってしまい彼女本来の切ない歌い方とは別に違った意味での悲壮感が漂います。その絞り出すような歌い方に喉を壊してしまうのではないかと正直心配になるほどでした。
鬼束さんご本人も悔しかったのでしょう、最後の曲『solitude』を歌っている最中に「ごめんなさい」と一言、そして一瞬泣き崩れそうになるところ客席から「ちぃちゃん!」と幾つもの声援がstageに届きます。その声に励まされて持ち直し、途切れることなく歌い続けました。
「もう充分だよ」という思いでしたが懸命に歌う姿に鳥肌が立ち、もう歌声がどうとか演奏がどうといったレヴェルではない崇高さを垣間見た思いがします。
歌い終えて後、stage中央に3人が寄り集まって客席に一礼、そして控室へと戻って行かれました。
ゲーム・ソフト『ドラッグオンドラグーン3』のテーマソングとなる壮大なバラード『This Silence Is Mine』がまだお披露目されていないものの「アンコールがあるのだろうか?」といった雰囲気が場内に漂いながらも拍手は鳴りやまず。
その拍手に応え、stageに再登場する3人。ここで鬼束さんはハイヒールを脱ぎ捨て、裸足になって『This Silence Is Mine』を熱唱。柔らかく包み込む声量、アグレッシヴに歌いあげる表情からまだまだ将来性を秘めているアーティストであると信じたい気持ちでいっぱいです。
(復刻グラス)
This Silence Is Mine/あなたとSciencE
- アーティスト: 鬼束ちひろ/鬼束ちひろ&BILLYS SANDWITCHES,鬼束ちひろ,鬼束ちひろ&BILLYS SANDWITCHES
- 出版社/メーカー: BounDEE by SSNW
- 発売日: 2013/12/18
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (2件) を見る