三島由紀夫文学館開館10周年記念フォーラム
山中湖文学の森三島由紀夫文学館開館10周年記念フォーラム
2009.11.21 @フォーラム会場「清渓」
1999年の開館から10年目を迎える三島由紀夫文学館。
パネリストにドナルド・キーン氏、横尾忠則氏をお迎えして開催された10周年記念フォーラムは参加を希望する応募が殺到し、抽選による招待状発送になったそうです。
運良く招待状が届いた小生にとってフォーラム初参加ながら三島由紀夫文学館もまた初めて訪れる場所であり、三島関連の貴重な資料を鑑賞できる絶好の機会となりました。しかも本日は入館料が無料。(なんと粋な計らいだろう)
展示品を一つ一つしっかりと瞼に焼きつけるよう鑑賞していたら受付開始時刻が迫り、鑑賞半ばで泣く泣くフォーラム会場「清渓」へ・・・。
「清渓」に到着すると既に十数名が列を作っており「最前列は無理かな?」と思っていたものの皆さん最前列には座られず客席中央に座られる方ばかり。そのため小生はパネリストの御二方が座られるテーブル席前(最前列)を易々と確保することができました。
司会進行役の井上隆史氏[白百合女子大学教授]、佐藤秀明氏[近畿大学文芸学部教授]とともにドナルド・キーンさん、横尾忠則さんが姿を現し、大きな拍手で迎えられました。
「三島さんと会った日々」と題された横尾氏の講演は、’65年に三島さんが個展に訪れたことから生涯親交を深められたというお話から始まりました。そして写真集『薔薇刑新輯版』の装幀で苦労されたお話の他、三島さんが市ヶ谷へ向かう数日前に電話で話された内容についても言及。
電話口で「ご苦労様でした」と言葉を掛けた際、三島さんが一瞬言葉を詰まらせる場面があったそうです。実はこの日、三島さんは市ヶ谷駐屯地へ入るための予行練習をされており、後でそのことを知ったとき「どんな気持ちで話をされていたのかと思うと胸が熱くなる」と後悔の念に苛まれる苦しい思いを吐露されました。
そして映画『MISHIMA』(Directed by Paul Schrader)の三島由紀夫役は当初、緒形拳さんではなく高倉健さんであったというお話とともに三島由紀夫をモチーフにした挿絵などをご披露されました。
続くドナルド・キーンさんは「三島由紀夫の演劇」について述べられ、三島の手になる戯曲はフランスの劇作家Jean Baptiste Racineの影響を色濃く受けていたと仰り、なかでも「サド侯爵夫人」は海外でも人気があったことを強調。そして三島さんを20世紀で最も成功した日本の劇作家と称えられました。
これまで小生も少なからず三島さんと所縁のあるお歴々とお会いしてきましたが、やはりこの御二方は別格です。
フォーラム閉会後の懇親会ではかなりお疲れのご様子のようで記念撮影を願い出たもののポーズを取ってはいただけませんでした。